日本最後の秘境〜吐噶喇列島訪問記④〜
小宝島
悪石島での滞泊を終え、レントゲン船は次の寄港地「小宝島」に向けて出港しました。
小宝島
面積1.00㎢
人口55人
吐噶喇列島の有人島の中で最も小さいです。
悪石島と小宝島の間には、渡瀬線といわれる生物分布上の境界線があり、動植物の分布や植生が異なります。
たとえば、沖縄や奄美大島に生息するハブはここが北限となっています。
港を降りてまず目についたのは、透き通るほどきれいで透明な海!!
島の海側は珊瑚礁が隆起してできた地形らしく、他の島と異なり、ほとんど高低差がありません。
集落も海岸線に沿って形成されているので、郵便局までの道のりも、それまでの諏訪之瀬島や平島に比べると大したことないですね。
▲海岸線に沿って平坦な道が続く
郵便局の開局までしばらく時間があるので、集落の中を散歩してみることにしました。
▲村立小宝島小中学校
▲小宝島多世代交流館(こだからえん)
「こだから」という言葉の響きもあるのでしょうが、ここの島は小さい子どもたちが多く、全体的に島全体が「若い」印象を受けました。
実際、島内にある小中学校は、一度廃校になった後復活していますし、託児所のような施設もありました。
ちなみに吐噶喇列島には分娩を行える病院がないため、出産の際には鹿児島市内、または奄美大島まで行かなければならないそうです。
港から歩くこと約10分、本日最初の郵便局「小宝島簡易郵便局」に到着しました。
▲小宝島簡易郵便局
まだ開いていないのに、局の前には記帳台が用意され、入金票や記念スタンプの類が置かれていました。年に一度のイベントとはいえ、ここまできっちり準備されているとは…恐れ入ります。
当日は早い者勝ちで整理券を渡され、番号の通りに呼ばれる流れでしたが、時間が思ったよりも短く、通帳をほかの誰かにまとめて預けていた関係で、思った以上にスムーズに捌けていきました。
諏訪之瀬島、平島、悪石島と同様、ここ小宝島も、簡易郵便局ができるまでは、島内に郵便局がありませんでした。
2018年5月9日、十島村からの委託を受け開局。それ以来、島になくてはならない公共インフラとして、地域を支えています。
さて、郵便局がオープンした時点で、すでに出港30分前。中之島と同様、朝方に健診が行われる関係で、どうしても時間が前にずれてしまいます。9:15には船に乗り込んでいる必要がありますので、ひとまず自転車組に通帳を渡して、先に戻ることにしました。
次に向かうのは宝島。いかにも財宝が隠れていそうな、ワクワクする名前ですが、それこそが名前の由来になっています。17世紀後半、イギリスの海賊であるキャプテンキッドがこの島の鍾乳洞にお宝を隠したという言い伝えがあり、国内外から賞金稼ぎ目当てでたくさんの探検家が上陸したとも言われています。ロマンに溢れていますね。
小宝島を出港して40分、定刻10:05に宝島 前籠港に入港しました。
宝島〜最後の寄港地〜
面積7.14㎢
人口148人
▲最後の寄港地 宝島に到着したフェリーとしま
これにて、吐噶喇列島の有人島全7島に上陸いたしました!わーい!!
さて、停泊時間は限られていますので、足早に郵便局へと向かいます。
集落は山の上にあるので、港からだと若干上り勾配ではありますが、前日の諏訪之瀬島や平島に比べればなんてことありません。
▲宝島の集落(イギリス坂付近)
港から歩くこと約15分、目的の宝島郵便局に到着いたしました!
▲宝島郵便局
ここは口之島、中之島と同様に直営の郵便局です。2007年までは集配局でしたが、現在は鹿児島中央局に引き継ぎとなっています。
ATMサービスはありません。昔はあったのかと局の方に聞いてみると、「今の局舎にする際にスペースは作ったけど、実際にATMが置かれたことはないんじゃないか?」との話でした。
ただ、入口の看板には謎のマスキングが。
うーん、これは元々ないんじゃなくて、あったけど撤去されただけなのでは? と勝手な憶測。
そんな感じで局内を巡検していると…ほら発見。
んん???
これ、ATMじゃなくてCDなんじゃないの!?!?
※ATMは現金の預入が可能、CD(キャッシュディスペンサー)は現金の引き出しのみ
ATMでしたら、「お預け入れ」「お振込み」などの表記もあるはず。
おそらくかつては、CDがここに置かれていたのかな。となると、「ATMがなかった」というのは間違ってはいないようです。
CDが郵便局でいつ頃まで使われていたのか定かではありませんが、少なくとも私が郵便局を使うようになってからは見たことありませんので、少なくとも20年以上前にはなりそうです。
そしてここ、宝島郵便局には、吐噶喇列島で唯一「風景印」が設置されています。せっかくなので63円切手に記念押印。
▲荒木崎灯台と伊勢海老が描かれている
局員の方は一人でしたが、非常に手慣れていて、みんなのオーダーに対して、正確に、そして丁寧に対応してくださっていました。本当にありがとうございます。
郵便局にて所用を済ませた後は、時間の許す限り、宝島の集落を散策。
▲宝島小中学校
学校は小中合築で、かなり立派な建物です。敷地内にはへき地集会所が併設されています。
校門までの道はかなりの急坂で、ここに毎日通ってたら相当健脚になりそうだよなぁ…なんて思いました笑
校門から振り返って見ると……
▲右にうっすらと見えているのが小宝島
いやぁ、本当にキレイな景色だ。
こういう自然豊かなところで勉強して、すくすく育ってみたかったなぁ
その後も集落の中をプラプラしていると、ガソリンスタンドを発見!
ガソリン価格どれくらいなんだろう、ってかセルフなのか、ハイオクがないからレ◯サスには給油できないねそもそもそんなの乗ってる島民はいないから関係ないのかなとか色々考えていると、こんな張り紙を発見。
えっ、給油の際は向かいの売店に声をかけてください、って!?
確かに売店ありましたが、一体どうなってんの?
経営がニコイチってこと?
ということは売店の方は危険物乙種4類の資格を持ってるの?
話を聞いてみようと思ったけれど、売店は閉まっていた(人はいたけど、営業時間外だった)から詳しくは不明。
離島には謎が多い…。
出港時刻が近づいてきたので、港に戻ると…
わんわん🐶
そう、このレントゲン船には、獣医師も同乗しており、飼い犬への狂犬病ワクチン接種も同時に行われています。
島民の皆さんだけでなく、そのペットにとっても、非常に大事な健康診断なのでした。
予定では11:55出港予定でしたが、何やらトラブルがあったのか、レンドゲン車の入換作業をしていた関係で、およそ20分遅れの12:15ごろにやっと出港。
▲船内レストランのカレーライス
奄美大島 名瀬到着までは残り3時間足らず。この船最後のご飯に選んだのは、レストランでのカレーライス。
なんか、こういう素朴な見た目と味からでしか摂取できない栄養ってありますよね
なんの変哲もないカレーなのに、船の上で食べるだけで、数倍も、数十倍も美味しく感じられる。旅こそ最高のスパイスだと強く実感します。
奄美大島の名瀬港には10分ほど早着。宝島出港の時点では20分遅れだったんですけど、ダイヤに余裕を持っているのでしょうか。
レントゲン船は、15時半、奄美大島の名瀬港に到着いたしました!
感無量!!!
これにて、吐噶喇列島全島への訪問を達成したわけですが、口之島では入金できず、悪石島では体調不良でほぼ寝て過ごし、その他の島も魅力的すぎて、正直、全く時間が足りませんでしたね。
次は島めぐりツアー便か、ボゼ臨時便か、または定期船か、悩むところではありますが、ぜひとも再訪させていただきたいと思います。
おしまいに、中之島で出会ったネコちゃんの写真を載っけておきます。かわいい!!!
とっても人懐っこかったです。島ネコは餌付けされていることが多く、私のような不審者が近づいても逃げません。
決して容易く訪問できるところではありませんが、皆さんも機会があれば、日本最後の秘境、吐噶喇列島にぜひとも足を踏み入れていただきたいです。
それでは。