ぱのの方丈徒然草子

ガチ恋ヒヨコ群&ぱるらーの備忘録

日本最後の秘境〜吐噶喇列島訪問記③〜

前回までの要約

2023年5月15日、鹿児島港を23時定刻通りに出港したフェリーとしまは、1日目の航海を順調に消化し、3つ目の有人島諏訪之瀬島」を後にしたのだった。

 

平島

諏訪之瀬島を出港することおよそ50分、船は4つ目の島、「平島」に到着いたしました。

 

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平島

面積2.08㎢

人口71人

 

 

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▲この山の上に郵便局がある

 

ここも他の島と同様、急峻な坂道が連続するとても過酷な島となっています。

 

ここまで来るともはや「平ら」とは何なのかと疑問を抱かざるを得ませんが、おそらくこの名前は島の地形ではなく、この島には平家の落人が逃げ込んだことに因むと考えられます。実際、現在でも旧暦行事や元服の儀式など、昔ながらの習俗が息づいているロマン溢れる島です。

 

ほぼ定刻通りに岸壁に到着し、乗船名簿に名前を書いて、そのままタラップへ!

 

港からきつい坂道を登ることおよそ20分、徐々に集落が見えてきました。

 

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▲平島の集落

 

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▲平島簡易郵便局

 

その集落の中心地、十島村役場出張所の横に併設される形で、平島簡易郵便局があります。

2017年と比較的新しい簡易局で、ここも諏訪之瀬島と同様、この局ができるまでは、島内に郵便局がありませんでした。

 

吐噶喇列島の郵便局はどこも訪問難易度が高いのですが、この平島はその中でも特に高く、というのも補助員不在のため、当面の間、週に2日(火、金)のみの営業となっています。

フェリーとしまの定期船で訪れようとした場合、月曜夜に鹿児島港を出る便に乗る以外の選択肢はありません。

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▲平島簡易郵便局の営業時間。下の方に小さく、「毎週月、水、木、土は休みます」と書いてある。

 

普段の利用客はほぼ見知った人ばかりで、1日の取扱量は1〜2件程度とのこと。この日は自分を含めて8冊分くらいの通帳があったでしょうか。開局している日数を考えると、この日だけで2週間分の仕事をこなしていることになります。いや、お疲れさまです…。

 

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▲山の上から眺めた平島の港。海は透き通るほど綺麗だった

 

 

さて、平島簡易郵便局での入金を済ませ、後は今夜の泊地 悪石島に向けて出港!と行きたい所なのですが、私はここで、とある妙案に乗っかることにしました。

 

先日、このブログにて、「口之島郵便局は、船の停泊が営業時間外となるため窓口での貯金などができない」と書きましたが、実はレントゲン船を使っても攻略不可能な郵便局がもう一つあります。

 

それは、これから我々が向かおうとしている、「悪石島簡易郵便局」です。

 

通常、郵便局の貯金窓口は16時まで開いていますが、農協受託の局や過疎地、離島などにある場合、営業時間がそれより短くなっている場合があります。

悪石島簡易郵便局もそのひとつで、ここは窓口が15時までしか開いていません。

船が悪石島に到着するのは15:05、すでに閉まっているため訪問は不可能です。

 

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▲悪石島簡易郵便局の営業時間。郵便、貯金共に15時までしか取り扱っていない。

 

 

しかし、ひとつ奇策を使えば、何とこのレントゲン船で、悪石島簡易郵便局にて貯金を行うことができるのです。

 

吐噶喇列島のアクセスは基本的にフェリーとしま以外にはありませんが、実は「高速船ななしま」というチャーター船があり、お値段はかなりかかりますが、それを貸し切ることができれば、各島を効率よく移動することができます。

 

つまり、平島に着いたあと、あらかじめ予約していた「ななしま」でレントゲン船が出港するよりも先に平島を出て悪石島に向かえば、窓口の営業時間内に、簡易郵便局にて貯金を行うことができるわけです。西村京太郎もビックリのトリックですね。

 

平島〜悪石島をチャーターする場合、54000円ほどの料金がかかりますが、この船には郵便局マニアの人がたくさんいます。彼らの頭数で割れば、一人当たり5〜7000円程度で貸し切ることができますし、また吐噶喇列島に行く手間を考えれば、これほどのチャンスは他にありません。

 

このアイデアは私が思いついたわけではなく、フェリーとしまの船上で、発想力&行動力オバケのフォロワーが提案したものであり、彼が主体となって、ほかに2、3人の郵趣家を乗せて、平島から悪石島へ先回りすることを決定したそうです。

 

なんか、郵便局のことになると、皆さん突拍子もないアイデアが続々と出てきますよね。

 

そこで、私は「先回り組」に通帳を預け、そのまま徒歩にて船に戻りました。

 

 

が、度重なる疲労や寝不足が原因で、私の体力はもうほぼ限界。

平島出港前に横になったらば、もう最後…

 

 

そこはもう

 

 

悪石島

 

悪石島

面積7.49㎢

人口79人

 

はっ!

 

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▲起きたら20時を回っていて完全に絶望

 

はい、せっかく長時間滞泊していたのに、やらかしまして、起きたら真っ暗になってました。

 

他の方達は、集落に行ったり、温泉に入ったり、ボゼの博物館を見たり、「悪人Tシャツ」を買ったり、バーベキューしたりして各々楽しんでいたそうです。

私は港の周りを歩いて、シャワー浴びて、トラハモ聴いて終わりでした。あーあ…

 

というわけで、この島の写真は何もないので、フォロワーからもらった営業時間内の悪石島簡易郵便局の写真を掲載しておこうと思います。

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諏訪之瀬島、平島と同様、ここも新規開局(2017年)した郵便局であり、局舎の構造はほぼ共通しています。

2021年には大規模な地震があり、島民の避難が実施された影響で、約1週間、営業休止を余儀なくされました。

 

ちなみに、私の体調不良は幸いにも軽い脱水だったようで、ポカリスエットを飲んで横になっていたら体力は回復し、次の日の朝には万全の体調で出港を見届けることができました。

 


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▲明朝の悪石島。うーん、もっと歩きたかった。

 

 

翌朝7時、船は錨をあげ、次の島「小宝島」に向けて進んでいきました。

 

消化不良になってしまった悪石島ですが、「これも何かの縁だから、また来てくれ」とのメッセージなのだろうとプラスに解釈しておくことにします。

 

1日目だけで最高の思い出ができた今回の吐噶喇列島巡検

 

船上で過ごす時間も後わずか。さて、無事に奄美大島 名瀬港に到着できるのでしょうか。

 

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▲フェリーとしまの船上から見た悪石島の近影

 

 

次回へつづく